病気について

フィラリア症

犬糸状虫という寄生虫により引き起こされる感染症(犬糸状虫症)です。蚊により媒介されます。
フィラリア症に感染しているイヌを吸血した蚊の中にフィラリアの幼虫が入り、その蚊が健康な犬を吸血する際に幼虫が犬の体内に入ってしまうことで感染します。
イヌに感染すると、フィラリアは血管内で成長し、最終的には心臓や肺動脈に寄生し、心臓病・肝臓病・腎臓病などの様々な病気を引き起こします。
また、イヌだけではなくネコにも感染することがあります(ネコでの症状は、咳や呼吸困難、突然死などで、犬同様に注意が必要です)。

症状としては、咳・元気消失・食欲不振・呼吸困難・チアノーゼ(舌が紫色になる)・貧血・お腹が膨れる(腹水貯留)等があります。
そして、心臓・肺・肝臓・腎臓等が機能不全に陥ると、最悪の場合、死に至ることもあります。

予防薬には、内服薬と外用薬の2種類があります。
月に1回(蚊が主に活動する期間の前後1ヶ月含め、5月〜12月の間)きちんと予防しましょう。

ノミ・ダニ

ノミとは…

イヌやネコの皮膚に寄生する代表的な外部寄生虫です。 体表を素早く移動し、皮膚表面から吸血を行います。 温暖で湿気の多いところを好み、春〜夏に活発に繁殖しますが、温かい室内では1年中繁殖が可能です。 そのため、完全に防ぐには、一年を通しての予防が必要です。

ノミによるイヌ・ネコへの影響

アレルギー性皮膚炎、激しい痒みによるストレス、貧血、瓜実条虫症(ノミの体内に寄生する瓜実条虫が原因で起こる病気)など。

ダニとは…

ノミと同じく、イヌやネコの皮膚に寄生する代表的な外部寄生虫です。 草むらに潜み、散歩中のイヌやネコの身体に乗り移り、吸血を行います。 ノミと同様に、1年通して繁殖が可能なため、完全に防ぐには、一年を通しての予防が必要です。 また、ダニはSFTS(重症熱性血小板減少症症候群)を引き起こすウイルスも媒介するため、イヌ・ネコだけではなく、ヒトの健康を守るためにも、予防が重要です。

ダニによるイヌ・ネコへの影響

貧血、アレルギー性皮膚炎、バベシア症(イヌ)、ヘモバルトネラ症(ネコ)など。

ノミ・ダニの予防薬には、内服薬と外用薬の2種類があります。 月に1回きちんと予防しましょう。 また、散歩後には、ノミ・ダニが付いていないか、全身を見るようにしましょう。

ワクチン

一般的にワクチンと呼ばれるものには大きく分けて『狂犬病予防注射』と『混合ワクチン』の2種類があります。

狂犬病は、哺乳類全般に感染するウイルス感染症で、発症すると死に至る可能性の高い恐ろしい病気です(現在、日本では狂犬病は50年以上発生していません)。そのため、狂犬病予防注射は、狂犬病予防法という法律により、1年に1回の接種が義務付けられています。
それに対し、混合ワクチンは、普段の生活において感染する可能性の高いウイルスをまとめて予防することを目的としています。混合ワクチンで予防できる伝染病の中には、一旦感染してしまうと治療が困難な伝染病や、最悪の場合、死に至ることもある病気も含まれています。そのため、きちんと予防接種することが大切です。

混合ワクチンの接種時期

子イヌ・子ネコの場合、生後2〜4ヵ月齢頃までは、母親から胎盤や乳汁を通して譲り受けた免疫(移行抗体)を持っています。この移行抗体は、まだ十分な免疫力を持っていない時期のイヌ・ネコを、感染症から守ってくれる働きがあります。移行抗体が残っているうちは、ワクチンによる免疫がつきづらいため、子イヌ・子ネコのワクチン接種は、この母親からの免疫がなくなる時期に行わなければなりませんが、その時期には個体差があります。そのため、一般的に移行抗体が消失し始める2ヵ月齢程から1ヵ月ごとに2〜3回のワクチン接種をおすすめしております。
それ以降は、毎年1回のワクチン接種をおすすめします。

狂犬病予防注射の接種時期

生後3ヵ月以降のすべてのイヌに毎年1回の接種が法律で義務付けられています。

混合ワクチンで予防できる病気

犬ジステンパー
犬パルボウイルス感染症
犬アデノウイルス感染症
犬伝染性肝炎
犬パラインフルエンザ
犬コロナウイルス感染症
犬レプトスピラ症(黄疸出血型、カニコーラ型、ヘブドマディス)

猫ウイルス性鼻気管炎
猫カリシウイルス感染症
猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
猫白血病ウイルス感染症
猫クラミジア感染症

当院では、犬で1種・2種・5種・6種・8種・9種混合ワクチン、猫で4種・5種混合ワクチンを採用しております。
接種するワクチンは、動物の年齢や飼育環境等により変わりますので、ご相談ください。

外耳炎

今回は、身近な病気『外耳炎』についてお話します。 外耳炎になると、外耳道(耳の入り口から鼓膜までの穴)に炎症を起こして耳が腫れて赤くなったり、臭いのある耳垢がたまります。
また、かゆみや痛みをともなうため、耳をかいたり頭を振ったりします。
外耳炎の原因は、耳垢の中での細菌や真菌の増殖、耳ヒゼンダニの寄生、アトピー性皮膚炎および脂漏性皮膚炎などの全身性の皮膚病など、様々です。
また、耳の中に毛が多く生えていたり、耳たぶが垂れていたりすると、通気性が悪いせいで耳の中がじめじめし、外耳炎になりやすくなってしまいます。定期的にトリミングサロンや動物病院で毛を抜くなどのケアをしましょう。
外耳炎の治療には、耳の洗浄と外用薬が効果的ですが、あわせてその原因を考え、取り除いてあげることがとても大切です。
今回お話しした『外耳炎』は、臭いや耳垢、耳の赤みなど、外からでもわかりやすく、飼い主様がもっとも気づきやすい病気の一つといえます。
おうちでのコミュニケーションの一環として、日ごろからお耳に触れたり、お耳の中をのぞいたりしてあげることで、外耳炎を早期に発見したり、お耳を触られることに慣れてしっかりとした治療ができるようになります。
※家庭での綿棒を使った耳掃除は皮膚を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまう場合もあるので、綿棒の使用は避けてあげてください。 外耳炎かな?と思ったときは、お気軽に当院へお越しくださいね!

皮膚炎

今回は日頃来院される患者様の中で多い症状の一つである皮膚炎についてお話します。

皮膚炎になると、患部が炎症を起こし痒みや痛みを伴い時には脱毛、発赤を認める場合もあります。皮膚病で痒みや痛みがひどくなると、わんちゃんやねこちゃんはいらいらしストレスが溜まってしまったり、気が立ってしまう場合もあります。このような辛い症状が悪化しないように早期に発見し、治療を心がけることが大切です。
皮膚病の主な原因は、大きく3つに分かれます。

① ノミやマダニなど外部寄生虫によるもの
② カビや細菌感染によるもの
③ 環境(アトピー)や食物アレルギーによるもの
この3つの原因が単独または重複して皮膚に炎症を起こします。

皮膚炎は身近な病気ですが症状や年齢などにより検査や治療に時間がかかる場合があります。また治療には、ストレスや食生活の管理、頻回の検診など飼い主様の理解と長期的な協力が不可欠です。
今回お話しした皮膚炎はわんちゃんねこちゃんの見た目や動作の変化などで飼い主様が気付きやすい病気です。痒がっているけど大したことないかな?この子は皮膚が悪い子だからしょうがないと判断せずにいつもと違った動作が見られたときは早めに当院にご相談ください。

※また、皮膚が乾燥していると皮膚バリアが低下し、アレルゲンや病原体が簡単に皮膚に侵入しやすくなるので、皮膚の乾燥している時にはセラミドなどの保湿成分を付けることをおすすめしています。

お口のケア と歯周病

人と同様に動物においても、歯とお口のケアは健康の維持に欠かすことはできません。
ケアを怠ると、歯周病をはじめとした口の病気にかかってしまい、痛みから攻撃的になったり、全身に歯周病菌がまわって体調を崩してしまう可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、飼い主さん自身が動物たちのお口の状態を気にかけ、歯磨きをはじめとしたお口の手入れをしていただくことが重要です。
とはいえ、動物はもともとお口のケアを嫌がるものです。
『ケアの仕方がわからない』、『どんな状態が正常なのかがわからない』という方も多いかと思いますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
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